【新人薬剤師向け】ガンマ計算とは?なぜ必要?処方監査で役立つ考え方を解説

keiko
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ガンマ計算(γ計算)と聞くと、

  • 医師が使うものでしょ?
  • 薬剤師でもICUや救急にいないと使わないのでは?
  • 計算方法は覚えたけど、臨床でどう活用するかわからない

そんなイメージを持っていませんか?

実際、私も最初は”知識”と”処方監査”が結びついていませんでした。
ドブタミンやノルアドレナリンなど、循環器系の薬の処方監査では毎回計算するのが大変で、「いつもの処方だから大丈夫」と流してしまっていた時期もあります。

しかし、γ計算を理解すると
・添付文書に書かれている「μg/kg/min」と、
・実際の処方である「mL/h」
を結びつけて考えられるようになります。

つまり「処方箋から、この患者さんに今、何γで投与されているのか?」を把握し、投与量や投与速度の妥当性を自信を持って判断できるようになるのです。

この記事でわかること
  • そもそもγとは何か、なぜ使う必要があるのか
  • mL/h⇔γの変換方法
  • 実際の処方例から処方監査でどう活用するのか

を、できるだけイメージしやすく解説していきます。

また後半では、循環器薬を学ぶときに役立ったおすすめ参考書も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

γ計算(ガンマ計算)ってなに?

γとは「μg/kg/min」を省略したもの

γとは「体重1kgあたり、1分間にどれだけ薬が入るか」を表す単位、
つまり「μg/kg/min」です。

カテコラミンなど循環器系の注射薬でよく使われます。

なぜ循環器系の注射薬でγ計算を使うの?

「体重」と「投与速度」が重要

循環器系の薬、特にカテコラミンなど循環動態に影響する薬では、
患者さんの「体重」に合わせて、「どのくらいの速度で」投与するかが重要です。

そのため、内服薬のように固定用量ではなく、投与量を細かく調整しながら使用します。

内服薬と注射薬の違いを、添付文書で比べてみましょう。
例えば、降圧薬のアムロジピン(内服薬)の添付文書では次のように記載されています。

通常、成人にはアムロジピンとして2.5~5mgを1日1回経口投与す
る。なお、症状に応じ適宜増減するが、効果不十分な場合には1日1
回10mgまで増量することができる。

引用:ノルバスク添付文書(高血圧症)

体格に応じた厳密な用量調節の必要はありません。

一方、循環器系の注射薬であるドブタミン(DOB)の添付文書では、次のように記載されています。

通常、ドブタミンとして、1分間あたり1~5μg/kgを持続静注する。投与量は患者の病態に応じて、適宜増減し、必要ある場合には1分間あたり20μg/kgまで増量できる。

引用:ドブタミン持続静注150mgシリンジ「テルモ」添付文書

つまり、「通常1〜5γ、最大20γで投与する」という意味です。

このように循環器系の注射薬では、

  • 何mg入っているか
  • 何mL/hで流れているか

だけではなく「患者さんの体格に応じた、何γで投与されているか」を把握することが重要になります。

γ計算は何に使える?

処方監査で「投与量が適切か」を確認できる

薬剤師がγ計算を覚える一番のメリットは、
「この投与量、本当に適切なのか?」を判断しやすくなることです。

循環器系の注射薬では、添付文書やガイドラインに

・「○μg/kg/minから開始」
・「○μg/kg/minまで増量可能」

という形で書かれています。

また、医師のカルテには
・「○γで開始」
と書かれていることもあります。

一方、実際の処方では、
「○mL/h」という”速度表記”になっています。

つまり、
投与量を参考にするもの(添付文書など):μg/kg/min(=γ)
実際の処方:mL/h
と、“単位が異なる”のです。

そこで必要になるのがγ計算です。

mL/hをγへ変換できるようになると、
「この患者さんは今、何γで投与されているのか?」
がわかるようになります。

すると、

  • 添付文書の通常量を超えていないか
  • 患者さんの体重に対して適切か
  • 開始量として妥当か

などを確認できるようになります。

「いつもの処方」監査から抜け出せる

新人の頃は、「いつもこのくらいの速度で出ているから大丈夫そう」という感覚で監査してしまうこともあると思います。

循環器薬は添付文書の用量範囲が広く、投与速度のみで確認する監査が一概に間違いとは言えません。

でも、γ計算ができるようになると、
「通常通り3γから開始されたんだな」
「血圧が低めだから2γから開始したんだな」

というように、“意味を持って”処方を見られるようになります。

つまり、ただ処方を流すのではなく、
「なぜこの投与量なのか」
という医師の処方意図まで考えられるようになるのです。

γ計算のやり方

mL/h → γ(μg/kg/min)への換算

計算式

γ(μg/kg/min)= 濃度(mg/mL)× 速度(mL/h)÷ 体重(kg)× 1000 ÷ 60

基本の考え方

ここで計算に必要な値はこちら。

  • 濃度 :成分何mgを溶解して何mLにしているか
  • 速度 :何mL/hで指定されているか
  • 体重 :患者さんの体重
  • 1000 :mg→μgへの単位変換
  • 60  :時間(h)→分(min)への単位変換

計算の流れとしては、以下の通りです。

  • 濃度(mg/mL) × 速度(mL/h)
    →「1時間に何mg投与されているか(mg/h)」
  • 体重で割る
    → “kgあたり” に変換
  • 1000をかける
    → mg を μg に単位変換
  • 60で割る
    → h を min に単位変換

実際の処方例から計算

この計算で必要な値を一つずつ確認していきます。

  • 濃度:ドブタミン150mgが50mLに溶解された薬なので、
        150mg/50mL= 3mg/mL
  • 速度:4mL/h
  • 体重:40kg

これを式に当てはめると、
3(mg/mL) × 4(mL/h) ÷ 40(kg) × 1000 ÷ 60
= 5γ

つまり、「この患者さんには5γで投与されている」とわかります。

γ → mL/hへの換算

ここまでは、処方から「今、何γで投与されているか?」を確認するために、
mL/h → γへ換算する方法を解説しました。

逆に、
「○γで投与したいとき、何mL/hで流せばいいの?」
と投与設計をする場面もあります。

  • 「3γで開始」と指示があるが何mL/hで投与したらいいか、と看護師から問い合わせ
  • 医師カルテに「3γ開始」と書いてあるのに、処方の投与速度から換算した値は「5γ」。3γだったら、◯mL/hに変更しますか?と疑義照会が必要。

このような場面を経験したことがあるので、γ→mL/hの変換も覚えておくと現場でより役立ちます。

1γを求める式

1γ(mL/h)= 0.06 × 体重(kg)÷ 濃度(mg/mL)

この式は、先ほどの
γ(μg/kg/min)= 濃度 × 速度 ÷ 体重 × 1000 ÷ 60

を“速度(mL/h)”について解き直したものです。
この形で覚えると計算しやすくなります。

実際の計算例

この処方速度は、本当に「3γ」になっているのでしょうか?

  1. まずは「1γ」が何mL/hか?

    ドブタミン150mg/50mLシリンジの濃度は、
    150mg ÷ 50mL = 3mg/mL です。

    先ほどの式に当てはめると、
    1γ = 0.06 × 体重(kg)÷ 濃度(mg/mL)

    なので、
    1γ = 0.06 × 40 ÷ 3
    = 0.8mL/h
    となります。

    つまり、1γ = 0.8mL/hです。
  2. では「3γ」は何mL/hか?

    1γが0.8mL/hなので、
    3γ = 0.8 × 3= 2.4mL/hとなります。

つまり、医師カルテに「3γ開始」と書かれているなら、
処方速度は「2.4mL/h」である必要があります。

γ計算を実践で身につけるおすすめ参考書

薬局 2026年3月号「注射剤取り扱いドリル」


γ計算の練習、注射剤全般の計算・評価を学びたい人向け

この中の、循環作動薬計算ドリルというところでγ計算について取り上げられています。

γ計算に限らず、

  • 輸液・水分・栄養量
  • 抗菌薬
  • 腎機能
  • オピオイド

など、病棟でよく使う注射剤について、
基礎編・実践編に分けて学べる内容になっています。

「注射薬の投与量が適切か」を考える力を、
全般的に身につけたい新人薬剤師におすすめです。

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循環器薬の“実際の使われ方”を知りたい人向け

γ計算ができるようになると、
「添付文書上では◯γまで使えるけど、実際はもっと少ない量で使われることが多いんだな」と感じる場面も増えてきます。

この本では、

  • どんな病態で使うのか
  • 何γくらいから開始するのか
  • どのくらいまで増量するのか

といった、“実臨床での使い方”がイメージしやすくまとめられています。

薬剤編・疾患編に分かれているため、
循環器薬を体系的に学びたい人にもおすすめです。

まとめ

γ計算は、単なる「計算テクニック」ではありません。

循環器系の注射薬が、

  • 患者さんの体格に対して適切か
  • 添付文書やガイドラインの範囲内か
  • 医師がどんな意図で投与設計しているのか

を考えるための、処方監査の考え方です。

最初は計算が難しく感じるかもしれませんが、

「今この患者さんは何γなのか?」

を意識するだけでも、処方の見え方は大きく変わります。

まずは、

  • mL/h → γ
  • γ → mL/h

を実際の処方で少しずつ計算してみることから始めてみてください。

「いつもの処方」を流すのではなく、
“意味を持って”処方を見られるようになると、
循環器薬への苦手意識も少しずつ減っていくと思います。

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