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【NST薬剤師解説】医薬品経腸栄養剤比較!微量元素の違い・必要量がわかる

keiko
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栄養の投与設計をするとき、ミネラル、とくに微量元素について

  • 栄養剤にはどの微量元素が、どれくらい入っているか知っていますか?
  • 必要量を満たしているかわかりますか?

でも正直、そこまで頭が回らない!添付文書みても細かすぎて考えたくもない!

こんなこと思いませんか?

この記事では

意外と知らない!
経腸栄養剤の微量元素の含有量を比較して
いったいどれだけ栄養剤を入れたら必要な微量元素を満たせるのか

について解説します。

考えたことがなかった人、自分でまとめるのが難しい!という人は
ぜひ最後まで見ていってください。

経腸栄養剤の微量元素の比較

大事なのは、微量元素の中でも必須微量元素9種類です。

必須微量元素には、銅(Cu)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、セレン(Se)、ヨウ素(I)、コバルト(Co)があります。

経腸栄養剤の微量元素含有量の比較

経腸栄養剤の微量元素含有量が比較できるよう、表にまとめてみました。

全部の必須微量元素が入っているわけではないことがわかります。

それが良いのか、悪いのかは一旦置いておいて、
全部を一つずつ覚えることは難しいですよね。

ということで、何が同じで、何が違うのか。

【共通点と違い】何が入っていて、何が入っていない?

じゃん!

どの経腸栄養剤でも共通で入っている微量元素はこちらの4種類です。

  1. 銅(Cu)
  2. マンガン(Mn)
  3. 亜鉛(Zn)
  4. 鉄(Fe)

 

違うのはこちらの微量元素です。

  1. モリブデン(Mo)
  2. クロム(Cr)
  3. セレン(Se)
  4. ヨウ素(I)

 

  • ラコール、ラコール半固形は、セレンのみ
  • エネーボは、モリブデン、クロム、セレン
  • イノラス、イノソリッドが共に、モリブデン、クロム、セレン、ヨウ素の4種類

が入っていることがわかります。

さらに、ラコール、ラコール半固形はセレンのみだけですが、
量も他よりも半量未満ですね。

ざっくり、新しい栄養剤の方が微量元素が「種類」も「量」も入っているということです。

 

ちなみに、経腸栄養剤の販売年順はこちら

ラコール半固形については、ラコール(液体)と同じ組成で作られています。

そのため、販売年がエネーボより新しくても、
微量元素の量も、種類も少ないのです。

 

微量元素の必要量はどれくらい?ー食事摂取基準で確認する

一般的に、日本人の食事摂取基準を元に摂取するのがベストです。

最新で2025年版、前回は2020年版・・・と都度改定されています。

それと比較してみましょう。

 

2020年版では「鉄(Fe)」に耐用上限量が設定されていましたが、なくなりました。
ただ、いくらでも摂取してよいというわけではなく、過剰摂取は控えるべきです。

コバルト(Co)に関しては、食事摂取基準がありません。通常ビタミンB12の構成要素として大事な微量元素ですが、言い換えればビタミンB12を摂取できていれば単独で欠乏することがほとんどないため設定されていません。

ASPENガイドラインでも経腸栄養の微量元素推奨量が示されているので、比較表作ってみました。ご参考までに。2002年から内容は変わりありません。

 

栄養剤何個で必要量を満たすか?ー表にまとめてみた

さきほど示した、日本人の食事摂取基準(2025年版)の目標量or目安量を
満たすことができる個数をまとめました。

幅があるものは、少なめの量を基準にしたので、栄養剤は少し多めの個数が必要になっています。

こうみると、販売年が最近のエネーボ、イノラス、イノソリッドは
1日3個から満たすことができるとわかりますね。

ここでは分かりやすいよう3個で区切りましたが、
イノラス、イノソリッドはヨウ素は4個で満たすことができます。
概ね満たされるような設計になっています。

まとめ

栄養剤には、どの微量元素がどれくらい入っているのか
医薬品の経腸栄養剤で比較してみました。

共通で入っているのは

  1. 銅(Cu)
  2. マンガン(Mn)
  3. 亜鉛(Zn)
  4. 鉄(Fe)

違うのは

  1. モリブデン(Mo)
  2. クロム(Cr)
  3. セレン(Se)
  4. ヨウ素(I)

で、新しい栄養剤の方が微量元素が「種類」も「量」も入っているということが
わかっていただけましたか?

 

経腸栄養剤をとっていれば、微量元素は十分とれているはず!
と思っていた方は

意外と入っているものと入っていないものがあるな、
量も違うんだ、と感じたかと思います。

経腸栄養剤のみで、食事がとれていない場合は、微量元素の欠乏症にも注意が必要です。

1日に必要な量が投与されておらず、そもそも入っていない!

というときには微量元素が欠乏してしまう可能性があるので、
しっかり微量元素が含有されている栄養剤への変更も考慮していきましょう。

この記事で、経腸栄養剤の微量元素について知っていただき、
頭の片隅にでも知識として置いておいてもらえたら幸いです。

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