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【病院薬剤師必見】がん疼痛緩和・オピオイドの勉強本5選!目的別にご紹介

keiko
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  • オピオイドの換算、増量はこの量であってる?
  • レスキューは何回まで使える?
  • 副作用への対策は?
  • 患者さんへうまく伝わってる・・・?

医療用とはいえ麻薬。ほかの薬以上にミスが許されず、
使い方、伝え方を誤れば、患者さんの苦痛を和らげることはできません。

それだけに「正確さ」「説明力」が求められます。

こんな悩みからオピオイドの基礎を学びたい
と感じる薬剤師は多いのではないでしょうか。

 

私自身も1年目薬剤師のときから、疼痛緩和に関わる処方提案や服薬指導を担当してきました。
その中で、新人でも読みやすく、今でも臨床に役立つ知識として活用している本があります。

今回ご紹介するのは

「何から学べばいいか迷っている方」にも、
「基礎を再確認したい中堅薬剤師」にも

現場での処方提案や説明にそのまま活かせる内容ばかり。
目的別におすすめを紹介しています。

ぜひこの中から1冊手に取ってみてください。

 

緩和ケアの薬の勉強を始めるなら読むべき1冊

がん疼痛緩和の薬がわかる本


「緩和ケアの薬、何から学べばいい?」
そんな薬剤師にまず手に取ってほしいのがこの本です。

やさしい語り口で、初学者でもすらすら読みやすい
「緩和ケアってこういうものなんだ」と全体像をつかむことができます。

著者は緩和ケアで有名な余宮きのみ先生。
看護師向けに書かれた本ですが、
薬剤師が知っておくべき薬の基礎知識がぎっしり詰まっています。

 

さらに特筆すべきは

薬をどう活かせば、患者さんのためになるか

という視点で書かれている点です。

こんな使い方ができます

  • 看護師とモニタリングを共有しやすい
     看護師向けに書かれているので、ケアの視点が豊富。
     薬剤師から「この副作用に注意してね」と伝えやすく、
     一緒に苦痛を取り除くチームアプローチができます。
  • 患者さんに寄り添った説明ができる
     患者の心情に対して「どう聴く?どう伝える?」が具体的に。
     質問が負担な方や、薬を嫌がる方への接し方のヒントが詰まっています。
  • 医師への伝え方の参考に
    「どんな症状をどう伝えるとよいか」具体的な例つき。
     薬剤師としては、症状+提案で信頼される関わりがしやすくなります。

 

💭 私の失敗 レスキュー薬の説明不足

新人の頃、オキシコドンが処方された患者さんに
「定時薬でベースの痛みを取り、痛いときはレスキューを」と説明しました。

しかし数日後、痛みの訴えはあるのに、レスキュー薬はあまり使われていない…?

看護記録をみて患者さんに尋ねたところ――

患者
患者

オキシコドンは効くまで時間がかかるって聞いたので、
それまで我慢しようと思って…

患者さんは、自分で薬の作用を調べ、“我慢すべき”と判断していたんです。

 

この本には、まさにこのようなケースが書かれていました。

オピオイド開始・増量時には、定常状態になるまでは痛みが残りやすい。
レスキュー薬を躊躇なく使ってもらうことが大切

患者さんのレスキュー薬の理解が不十分なため
レスキュー薬を十分に活用できないことも多い

 

この経験から、今ではこう伝えています。
「薬はゆっくり効いてくるから、痛みを我慢せず、レスキュー薬を遠慮なく使ってください」

この症例がなければ「定常状態になるまではどう支えるのか」
という視点に気がつけなかったと思います。

 

 

この本には、こうした患者さんに寄り添った実践的な内容がたくさん書かれています。

「どうすれば苦痛をいち早く和らげられるか?」
そのヒントをくれる、まさに緩和ケアの第一歩にふさわしい1冊です。

 

 

薬の特徴・使い方がパッとわかる1冊

がん治療のための緩和ケアハンドブック


本で知識を得ても、
実際の処方や患者さんを前にすると、うまく引き出せない——

そんなときに頼りになるのが、この1冊。

  • 「薬の特徴・換算・副作用対策を整理したい」
  • 「病棟でパッと確認できる本がほしい」

現場で迷いやすいポイントが、シンプルかつ的確にまとまっています

 

本書は、緩和ケア・腫瘍内科の医師が、緩和ケア非専門の医師向けに書いたもの

薬の知識がまとまっているだけでなく、
症例・処方例・IC例から、実践的な判断ポイントが要所ごとに明示されています。

薬剤師として、医師がどのように緩和ケアを考え、進めているのか
その“思考プロセス”を学ぶことができます。

※非常におすすめなのですが、2017年発売と改訂版がないことがやや欠点。
基本的な考えは変わりありませんが、WHOガイドライン変更でラダーがなくなった。
中等度以上の痛みから強オピオイドを使うということは頭に入れて使ってください。

 

こんな使い方ができます

  • 換算やスイッチングの判断材料に
     各オピオイド、剤形変更(貼付剤→注射など)の切替えについて
     換算表とともに視覚的に整理されています。
     付録で切り離せる換算表・オピオイド切替方法がとくにおすすめ★
     計算しにくいレスキューの投与量も換算表にまとまっています
  • 薬剤の特徴を整理できる
     各オピオイドの効果発現時間、副作用、使い分けが比較しやすく、
     現場で確認しやすい構成です。
  • 「冷や汗症例に学ぶ緩和ケア」で実症例と照らし合わせて学べる
     実際の処方や対応のヒントが得られます。
  • がん緩和ケア全体の視点で使える
     疼痛管理だけでなく、倦怠感・高カルシウム血症・呼吸困難など、
     がん患者によくある症状全般への対応も掲載されています。

 

💭 私の失敗 オピオイドを増やすだけでは効かないことも

オピオイドを使用している患者さんのケースで悩んだことがありました。

薬剤師
薬剤師

内臓痛は軽快したけど、ズキズキ痛むのは残ってる
レスキュー薬を使ってもあまり効かない…。
この前増量したばかりだけど…またオピオイドを増やすべき?

当時の私は
「痛みがあればオピオイドを増量、副作用が出なければOK」
というような単純な思考しか持てていなかったのです。

 

この本では「骨転移」の疼痛やNSAIDsの使い方についても、
症例として取り上げられており、
痛みの種類に応じた薬剤選択が明確に解説されていました。

 

その後、私はこう提案できるようになりました。
「NSAIDsの追加を検討してみませんか?」

本書を通じて、
痛みの質を見極め、適切な治療を提案する視点を学ぶことができたのです。 

 

 

がん性緩和ケアにおいて、薬剤師が直面しやすい問題について幅広く網羅しつつ、
情報がうまく整理された一冊です。

現場で“パッと調べたいとき”にも、
日々の勉強にも使える、とても頼りになる実践的ハンドブックです。

 

 

エビデンスに基づいた薬の使い方を学ぶなら

緩和治療薬の考え方・使い方


エビデンスに基づき、理論的に薬の使い方を学ぶことができる1冊です。

2018年に改訂されたWHOのがん疼痛治療ガイドラインをはじめ、
最新の知見を踏まえて、緩和ケアで使われる薬について解説されています。

マニュアル的に「答えだけ」を探す本ではなく、
薬剤師として“なぜそれを使うのか”を理解し、判断力を深めたい方におすすめです。

こんな使い方ができます

  • 薬の特徴を“理論と根拠”から理解できる
    構造式や作用機序といった基本的な部分から、
    各薬剤の使いどころをエビデンスに基づいて丁寧に解説されています
  • 素朴だけど臨床で迷いやすい疑問を調べてみる

    「低用量モルヒネとは具体的にどの程度か?」
    「貼付薬は初回から使用できるのか?」
    「初回オピオイドには制吐剤がいるのか?」

    エビデンスと臨床経験の両面から、実際の使い方まで踏み込んで解説されています

  • オピオイド以外の薬についてもカバー
     せん妄、不安、不眠など多様な症状に対する薬剤の選び方、使い方も学ぶことができます
     

 

💭 私の失敗 オピオイドは痛みを取るだけではない

呼吸困難感のある患者さんにモルヒネの使用すると医師から連絡がありました。

薬剤師
薬剤師

オピオイドの副作用で、
過量投与→「呼吸抑制」→危ない!
モルヒネを呼吸困難に使うの?

 

でもよく考えると、
「コデインが効くならモルヒネも効く」という構造的な視点
が解説されており、納得。

さらにこんなことも記載

  • 呼吸困難に対するモルヒネのエビデンス
  • 他のオピオイドは呼吸困難に効くのか?
  • すでにオピオイドが処方されているときの対応

 

臨床現場で「呼吸困難=モルヒネNG」と考えていた自分の視野が広がり、
構造式・エビデンスから薬を選ぶ大切さを実感しました。

 

このように、理論的に「臨床でどう使うか」までしっかり解説されている本書。
薬剤師として、納得しながら薬を選びたい方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

現場のよくある疑問を解決するなら

ここが知りたかった緩和ケア


オピオイドの基本を学ぶ、というよりも——基本を深めることができる本
実際に緩和ケアで「どうしたらいい?」と立ち止まったとき
・臨床に活かせる知識を深めたいとき

著者は『がん疼痛緩和がわかる本』でも紹介した、余宮きのみ先生
本書は教科書的な知識を超え、現場で「結局どうすればいいの?」という臨床の場で培われた“経験者ならではの視点とノウハウ”
が詰まっています。

 

こんな使い方ができます

  • 疼痛コントロールがうまくいかないときに
     オピオイドの使い分け、副作用対応、切り替えなどの臨床判断に
  • 痛み以外の症状への対応に
     倦怠感、不安、不眠、鎮静、せん妄、嘔気などの対処法も網羅
  • 麻薬の取り扱いや、医療者間・患者家族とのコミュニケーションにも
    「鎮静をどう説明するか」「ICで何を伝えるか」など、
     現場で迷いやすい話題が扱われています

 

💡 特に印象的なのは「定時オピオイドとレスキューは同一薬でなければいけない」という思い込みへの指摘。
新人の頃にはつい陥りがちな考えですが、本書は薬剤師が持つべき柔軟な視点を基礎から教えてくれます。

 

💭 私の失敗 夜間だけの痛みも薬の切れ目かも

ある患者さんは、オキシコンチン1日2回での疼痛管理中。

患者
患者

日中は平気だけど、夜~明け方にかけてが一番つらいんです

夕の薬を飲む前は痛くないのに、朝の薬を飲む前に痛みが強く出ているケースでした。

選択肢として考えたのは:

  • オキシコンチンの夜間寄り増量
  • ナルサス1日1回寝る前投与への変更
  • 補助薬としてクロナゼパムの追加

薬剤師としては「定常状態に達していれば時間は問わない」と考えがちですが、
実際は「寝る前に飲んでから眠る」という安心感や、わずかなピーク濃度上昇が効果につながることもあります。

最終的に、ナルサスへ変更することで痛みのコントロールが改善。
「薬物動態 × 患者の実感」という視点の大切さを実感しました。

 

 

本書は、緩和ケアに関わる薬剤師が直面する疑問を、そのまま拾い上げてくれる実践書です。
悩んだときに“今すぐ答えが欲しい”という場面でも、
腰を据えて“思考の幅を広げたい”というときにも使える一冊。

ぜひ、手元に置いておきたい本のひとつです。

 

 

皮下注射を勉強するなら

症状緩和のためのできる!使える!皮下投与


皮下投与に特化した、これまでにない実践的な1冊。
皮下注の基礎から、具体的な投与量・速度、使用できる薬剤がまとまっており、
緩和ケアにおける皮下注射の基本を学びたい薬剤師におすすめです。

他の緩和ケアの本でも皮下投与について触れられていますが、
この本は“皮下注射”に焦点を絞っており、網羅性・実用性が段違いです。

 

こんな使い方ができます

  • 皮下注射の“迷い”がなくなる具体例が満載
    薬ごとの適正な投与速度、濃度、希釈方法などが明確
    NSAIDsや抗不安薬など、オピオイド以外の薬剤についても対応
  • 「皮下注でこの薬、どう使う?」にすぐ答えられるように
    現場で使う場面の多い薬剤について、皮下注での実際の使い方が載っています。
    医師・看護師からの質問にも自信を持って対応できるようになります

 

さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ!
【薬剤師必見】皮下点滴おすすめ本!使える薬・速度・注意点がわかる


まとめ

 

緩和ケアの薬・オピオイドは、「基本的な知識」をもとに、
「患者さんの気持ち」を考えることが大切です。

今回ご紹介した書籍は、どちらに偏ることなく支えてくれます。
薬剤師として、目の前の患者さんに寄り添った治療ができるよう、ぜひ活用してみてください。

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